私のバイク遍歴(1) プロローグ
最近バイクネタが少ないので、何かないかなと思ったところ、今までのバイク遍歴を書いてみようという気になった。
掲載は不定期で、内容は全くの個人的な思いと体験だが、興味のある方は読んでいただきたい。しかしながら昔のことを詳細に覚えているわけがないので、細かい記述は、脚色したものであることをお断りしておく。
では今日は、その第1回目。
最初にバイクを意識したのは、小学校低学年の頃、海に行く途中のことだったと思う。
それは、30年以上前の、ある夏の日のことだ。
私を後部座席に乗せた車は、家族5人で、海へ向かって走っていた。当時はエアコンなんて気のきいたものはまだ普及しておらず、どのも、夏は窓を開けて走っていた。田舎では砂利道も多く、もうもうと砂煙
を上げて走る先行車がいた場合、急いで窓を閉め、舗装路に変わるまで全員蒸し風呂
を我慢するのが当たり前だった。途中、暑くて我慢できない時には窓を細く開けるのだが、そうすると砂が入ってきて、髪の毛からシートまでザラザラになってしまうのだった。
その日も、窓を開けて開放感に浸りながら走っていた。もうすぐ海が見えてくるという頃、父がルームミラーを見て言った。
「後ろから、たくさんのバイクが来るぞ」
振りかえって見ると、かなりの数のバイクの集団が近づいていた。やがて先頭の1台がゆっくりと近づいてきて、片側2車線の右車線を走り抜けて行った。
「カッコいいなぁ」
その、1台目のバイクが通り過ぎる時、開けた車の窓から、じっと見てみた。速度差はあまりなかったので、全体の形がよく分かった。見たこともないような大きいバイクで、、サイドカバーにあった「750」の文字、低い音が特徴的だった。近所でこんな大きいバイクに乗っている人はいなかったので、それはたぶん、初めて見た750(ナナハン)だった。びっくりしながら、後続のバイクが1台ずつ通り過ぎるのを、じっと眺めた。
そうして見てみると、サイドカバーの数字はいろいろで、それがバイクの大きさを表すことが分かった。250、350、500、550、650、いろいろあったが、750が一番大きい数字だった。また形もいろいろで、キャンバス地の風防がついているもの、蝶が羽を広げたようなバンパーを前後につけたもの、ハンドルが高いの、低いの、様々な形のバイクが走っていった。
CB350four
CB500four
通り過ぎるときに数字を目で追ったが、250や350よりは、750のほうがエンジンも車体も大きく、断然カッコよかった。
そうして最後の1台も、少し離れて走ってきた750だった。ゴールドのタンク、そこに刻まれたHONDAの文字、四角くつるんとしたシリンダーで、ゆっくりと脇を抜けて前に出ると、4本のマフラーが見えた。
その750は少しの間、斜め前を走っていたが、水平線が見えて来た頃、前の集団に追いつくために4本マフラーから一段と大きい音を発し、急加速してみるみるうちに小さくなり、輝く海のほうへ消えていった・・・。
バイク原体験は、たぶんこの時だったろう。
「大きくなったらあれに乗るんだ」
少年はその姿と音を心に焼き付けた。「あれ」とは、HONDAの4本マフラーのナナハン、CB750fourである。
続く・・・
(3枚の写真はHONDA COLLECTION HALLの展示です)
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コメント
こんばんは。
バイクのコマーシャルシーンに使えそうな記憶ですね。
車の中からバイクを目で追う少年の姿が、映像のように浮かびます。
CB750Fは、うちの旦那様、その友達、また友達と憧れの
バイクです。
当時の少年の心をわしづかみにしてたんですね~。
投稿: おくさん | 2009年11月28日 (土) 21時05分
おくさん、おばんです。
脚色はしていますが、よく覚えている光景です。
CB750fourは、永遠の憧れです。1300より小さくても排気量少なくても、とにかく最高なんです(笑)。
4本マフラーと、全身から放つオーラなのですね。
投稿: いちご | 2009年11月28日 (土) 22時28分
こんばんは。
渋いですよねぇ(o^-^o)
最近、街で見掛ける旧車と言ったら…orz
悲しくなってきます。
こういった名車は正統派ライダーに乗って貰いたいですね。
最後までいちごさんのガレージかと思って見てました(笑)
投稿: Mr.T | 2009年11月28日 (土) 23時04分
こんばんわ。
自分の場合は、CB750fourの実車をあまり目にした記憶がありません。おそらく、そのころはまだ興味が薄かったのだと思います。(バイクに乗り始めた時はすでにCB750FCだったような。。)
その後、マンガの「750ライダー」でこのバイクを知り、憧れるのであります。
最近、レストアしたCB750fourを時々見かけます。そんな時は、思わず見入ってしまいます。
投稿: やんべ | 2009年11月29日 (日) 00時12分
Mr.Tさん、おばんです。
>街で見掛ける旧車
確かに! 雑誌の影響かも知れませんが「旧車」の意味が違ってしまいましたね。残念なことです。
>名車は正統派ライダーに
いいバイクですよ。この存在感は圧倒的です。
ガレージは、今度お見せしましょうか。フェ○ーリステップワゴンがありますよ(爆)。
投稿: いちご | 2009年11月29日 (日) 20時33分
やんべさん、おばんです。
>CB750fourの実車
私はよく見ましたよ。見るたびに音にしびれてました。4本マフラーも素敵です。
マンガの「750ライダー」も懐かしいですね。あれはK3かK4だったかと。
>レストアしたCB750four
たまに見かけますね。でも愛情とメンテ知識・技術がないと維持できませんね(私には無理)。
投稿: いちご | 2009年11月29日 (日) 20時38分
銀色のCB350Fが猫の顔の人生最初の愛車です。懐かしいです!
フレーム番号がCB350―1066350でした。どこかで元気でいるといいなあ!
投稿: 猫の顔 | 2014年1月20日 (月) 23時35分
>猫の顔さん
こちらにもコメントありがとうございます。
フレームナンバーまで控えているのですか、凄いです。
ところで先日350fourを目の前で見て音も聞きました。
昨年12月16日の記事のところです。
意外に低くていい音でした。
アクセル吹かすと「ファン」でしょうか、違うかな(汗)。
すぐに隣のCB750fourが始動しましたが、350に濁点を加えた音でしたよ。
が・・・・
350=ファン
750=ズオン
350の音に「”」を加えてもズオンになりません(笑)。
投稿: いちご | 2014年1月21日 (火) 22時54分