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2010年2月14日 (日)

保存版 恐怖のナイトラン~一本杉峠

これは、以前のブログにUPした2007年5月の記事を加筆修正し、ここへ移植したものです。従って、コメントは受けつけておりません。

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今日は、SB買ってからずっと行きたいと思っていた、ナイトランnightをしてきました。そのために、先日はシールドも替えんです。

いつもより早く仕事を終え、向かったのは足尾山頂。
まだ夕陽は高く、夕陽撮影に間に合うかなと思っていました。が、着いた時には既に沈み、山頂付近は寒いぐらいでした。
でもいい場所ですね、ここ。気に入りました。セルフ写真を撮りたくなります。

というわけで、撮ってみました。

Pict_010

コンデジと、コンデジ用(というわけではないけど)の小さな三脚を使って、セルフタイマー。

うん、なかなか決まっている。そして19時30分頃帰路へ。

が、そのあとの帰り道で、まさかあのような恐怖体験wobblyをしようとは!

それから数枚。真っ暗になるまでいたんですね。

Pict_025

この角度、いいですね。
Pict_017

このハングライダー発着所で撮影を終え、私は来た道を戻ることはせず、来た道に続く方向へ走ることにしました。尾根沿いにずっと行けるというのは知っていたからです。
しかし、これがいけなかった。
すでに日もとっぷり暮れ、あたりを包むのは暗闇と静寂だけです。

Pict_019

「フォン、ブオンdash
静寂を打ち破るように、SBのエンジンをかけます。いつもより高回転まで空ぶかししたりして。

(来た道に戻るか?)

と一瞬頭をかすめましたが、勝手知ってる地元です。これから行く道は走ったことはありませんが、およその地図は頭に入っています。
狭い、くねくね道を下り始めます。落ち葉や垂れ下がっている枝を避けながら、1速と2速で。
暗くても舗装はされており、石岡市と桜川市を隔てる尾根沿いを走る高揚感があります。

と、しばらく走ると、三叉路に出ました。きょろきょろ見回してみます。悲しいかな、カウルのあるSBは、ハンドルを回しても、ヘッドライトは回らないのであります。おまけにノーマルライトは、あまり明るくない。
(あとで調べたら、「一本杉峠」と言うのでした)

ライトでぼんやりと浮かんだ中に、3本の道が見えました。
1本目、上りの道、パス。
2本目、ダートの狭い下り道、パス。
3本目、今来た道に続く下り舗装路、ここを行きましょう。

が、しかし、やがてそこもダートになってしまいました。大きな石ころはあるわ、轍は深いわ、しかも片方は崖です。

(やはりUターンするか)

そう思えど、Uターンするほどの道幅はないし、轍が深いために降りて押すことは到底不可能です。

(まずい、戻れない)

走るしかないか。
ギアは1速、フロントとリアブレーキは、ずっとかけたままです。水温計は107℃に。
ステアリングヘッドのねじが緩むのでは? というぐらいのダートを下りて行きます。
時折、フロントタイヤが石を跳ね、それがエキパイに当たって甲高い音を立てます。綺麗なエキパイに傷がついてしまいますが、止めて見る心理的余裕がありません。

(もしここでコケたら?)

その思いが頭から離れません。コケたら、携帯は通じないし、標高はかなりあります。街の明かりが遠いのです。
コケたり、バイクを起こせなかったりしたら、あとは真の暗闇を歩いて下りるしかありません。
いや、それならまだまし。

(もしバイクもろとも谷底へ落ちて負傷したら?)

谷底へ落ちて、携帯mobilephoneが通じなかったり、破損でもしたら?
もしそうなったら、どうやって帰ったらよいのでしょう。沢の水を飲み、イノシシの恐怖に怯え、私はここで孤独に死んでいく?
誰にも行き先を告げず来ているのです。滅多に人も来ないこの道、私は白骨になって発見されるの? そんな思いすら浮かびました。

都会の夜というのは、明るいものです。しかし、深い山では空が見えず、本当の暗黒があります。まさに、漆黒の闇。
道は急峻で、片側は崖です。暗黒の中を、手探りのように走ってゆきます。
(ま、今こうして記事書いてるんですから、無事だったのですけどhappy01

そういえば最近、新潮文庫から出ている、素木文生さんの「旅旅オートバイ」という本を読んだのでした。
おもしろい本でしたが、峠道を一人で走っていて、手首だけのオバケがフロントホイールに突っ込んでくるという記述がありました。それを思い出し、鳥肌が立ってしまいました。私、その手の話は好きだけど嫌いなんです。
バックミラーに何か写ったらどうしようとか、この山道に誰か立ってたらどうしようとか考えながら。かなりの恐怖を感じて、ミラーが見られません。

そういえば山頂で取った写真の数枚には、不思議な点もあったような・・・。

Pict_021

ほこり? いや、連続して撮った他の写真にはないんです。

イタチか何かがいました。が、振り向く余裕などありません。

芥川龍之介の小説「トロッコ」をご存知でしょうか?
トロッコに乗って遠くまで行った少年が、

「われはもう帰りな、俺たちは向こう泊まりだから」

と言われ、今しがた走ってきたトロッコの線路を、もらったお菓子も捨て、草履も脱ぎ捨て、(命さえ助かれば)という思いで必死になって走り、家に着いた途端泣きじゃくるという部分があります。
この心理描写は、何度読んでも好きなところであります。
今の心境は、まさにそれです。無事に帰れさえすれば、と、本気で思いました。

・・・・・・。
何度か危ない場面がありました。
しかし一方では妙に冷静で、ABSのリアロックを試してみたり。説明書にある通り、10Km/h以下ではABS効かないんですね。

そうして民家の脇を走ったのは、30分後でした。時速10キロで30分ですから、計算上は5Kmの山道ということにはなります。
が、とことん疲れました。疲労困憊です。
260kgのバイクで、急な下りダートを30分下りてきたのです。
ギアを2速に入れた時の嬉しかったこと 平地に出た時の嬉しかったことsign03 あまりに疲れたので、平地に下りて最初に見た自動販売機の前に止めたときは、しばし脱力感で動けませんでした。
もう、この道は二度と行きたくありません。いやぁ、疲れた。

後記:
一本杉峠で止まった時、2つある下りの道のうち、違う方を選んでいたら、SBは間違いなく廃車となっていました。私も、その日のうちに帰れなかったことは、疑う余地がありません。
途中にはもの凄いガレ場があり、昼間、オフ車ですら、突破するのは困難な場所でありました。
では、そのもう1本の道とはどんな道だったか。
それは、あずさ2号さんが、 
「そうだ、遠くに逝こう」書いておられます

私が生還したのは、1/2の確率での、全くの幸運でした。

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