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2011年6月25日 (土)

小説 ソースなカツにしてくれ(5)

その後、塔のへつりから、インター近くまで再度ダンさん先導で走り、西郷村の駐車場で最後の休憩。
そろそろ帰る時間だ。朝は寒かったが、ずいぶん暑くなった。冬ジャケットを脱ぐと、涼しい風が心と身体を通り抜けていくのが分かる。バイクを止めて下界を見下ろすと、初夏の霞が静かな福島の大地を包んでいた。

駐車場の柵によりかかったり歩いたりしながら、もう高速千円も終わりだなとか、震災の復旧はどうかなとか、食べ過ぎて腹が痛いとか、俺はそんなことをぼんやりと考えていた。
ふと気づくと、目の前に、クールけんさんのW1SAがあった。思えば、じっくり見ていなかった。

annexさんの写真をお借りした
20110619153203_original1

早速インタビューしてみた。
W1SAは40年のビンテージ品。フロントフォークは、元祖ナナハンキラーZ650(Z2に隠れて目立たなかったが、いいバイクだった)のものに変更、ディスクはダブル、シフトは本来右なのだが、車体を右から左に貫通するリンクで、左シフトになっている(これはオリジナルらしい)。その他の変更・交換多数。
スタートはキック。渾身の力を込めてキックペダルを踏み下ろすと・・

ババン、ズババババン」とエンジンが鼓動を始める。

加速するときは「ズバババババババ・・・・

トンネルでの「ズババババババ」  反響は最高である。

Dscf6305

峠道でも「ズバン、ズバババババ、バッ、ババババン

高速でも「ババババババババババ

アイドリングでは、車体のあちこちが揺れている。
annexさんも書いておられたが、一緒に走っていて、安心感がある。
それは何よりも、この歯切れのよい明快な音が魂をゆさぶるからである。ガソリンが空気と混ざり、シリンダー内で爆発している等間隔の音。この音がよくてWに乗る人も多く、片岡義男氏の小説bookで、主役の青年がWの鼓動を感じて涙を流すsweat02場面もあった。

高性能な4気筒もいいが、こんな鼓動を感じながら、新緑や紅葉の道を走ったら、さぞ痛快だろう。230さんの883Rもまたしかり。

それともう一つ、40年以上前のバイクが、くねくね道から高速道まで、現代のバイクに全く劣ることなく走れる-120km/h巡航もできる-という事実を目の当たりにしてeye感動する。

Dscf6307

そして 「では」と
誰からともなく身支度を始め、高速入口まで走ると、福島組の3台はETCゲートを出て左に止まった。3人が手を振る。
反対側へ帰る7人も皆、手を振る。何故か、この場面が好きだ。これからは帰路によって、1台ずつ違う方向へ帰ってゆく。

まず230さん、SAで「ではまた」paper

続いてわらいぶくろさん、栃木県内でドカティの音も高らかに消えていったdash さらば、ブルース・ウィリス。

ボティーさん、北関東組が分岐するところで、GOOD BYEpaper 無事この日のうちに帰宅されたようだ。

Dscf6312
高速のすり抜け

日が西に傾いてきた。
北関東道を東に向かうので、バックミラーには湿ったピンク色の夕焼け空が写っている。止まって写真を撮りたくなる景色だったが、高速ではそうはいかない。
koaraさんが追い越し車線に行くと、W1SAが一段と歯切れのよい音を出して続く。ミラーに写るannexさんのライトがハイビームのように上を向く。豪快なアクセルワーク。

完全に暗くなった頃、クールけんさんは手を上げてpaper「ズババババ」と分岐していった。

残りは3台。
俺が下りるインターが近づいてきた。車線を変え、右手を上げると、koaraさんとannexさんがやはり手を上げ、テールランプの洪水の中に消えていった・・・。

                                                              

ところで、ちょっと前から、高速で後ろを影のようについてくるバイクが1台いることに、俺は気づいていた。
するとそいつは、同じインターで下り、出口のカーブで火花を散らしながら俺を追い越した。そしてETCゲートを出たところでブレーキングし、リアタイヤをロックさせ白煙を出しながら150度回転して止まった。

「やあ、いちごさん、ひさしぶりheart04

サエコだった。

                                                                     

  「ソースなカツにしてくれ」   完

                                              一部はフィクションです(当然)。

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ツーリング」カテゴリの記事

コメント

 サエコさん来た~~~~
 ここからは大人の時間???

投稿: 剣片喰 | 2011年6月25日 (土) 20時16分

読み応えがありました。
所用が無ければご一緒したかった。
サエコさんによろしく!

投稿: shingo | 2011年6月25日 (土) 20時55分

キターーーーーーー!! サエコ(爆)
いつかいつかとお待ちしてましたー。

W1の咆哮は、40年の月日を超えて今に蘇る。くー、ストイックな男に似合うバイクだねー。魂を揺さぶる音。まさしく。(一部フィクション)(爆)
超大作、しっかり読了しました。
いちごさん、ほんとうまいね。浪漫がないと書けないよ。
次回作期待してます。出来ればサエコさんをお願いします(爆)

投稿: annex | 2011年6月25日 (土) 21時17分

こんばんは。
SevenFiftyです。

Wとは又懐かしいですね。
フロントがディスクブレーキなのでW3かと思いましたがW1SAなんですか。
いちごさんもWに乗られたことがあるのでしょうか。
この時期はWに乗ると必ず右の太ももが火傷するので大股開きになっちゃいますね。

>そしてETCゲートを出たところでブレーキングし、リアタイヤをロックさせ白煙を出しながら150度回転して止まった。
マジでやったのですか。
まぁ人様のことを言える立場じゃないですがわたしも若造の頃にWやSSでしこたまやったアホですからね。

投稿: SevenFifty | 2011年6月25日 (土) 21時37分

剣片喰さん、おばんです。
ここからは大人の時間です。よって、この先は書けません(笑)。

投稿: いちご | 2011年6月25日 (土) 22時13分

shingoさん、ありがとうございます。また機会もありましょう。
サエコに話しておきますね(爆)。

投稿: いちご | 2011年6月25日 (土) 22時17分

annexさん、おばんです。

>40年の月日を超えて今に蘇る。くー、ストイックな男に似合うバイクだねー。魂を揺さぶる音。
そうですね。本当にいい音です。

>浪漫がないと書けないよ。
浪漫なんて、何もありませんよ(笑)。

>次回作期待してます。出来ればサエコさんを
いや、ソースカツ丼ツーはこれで終わりです(爆)。

投稿: いちご | 2011年6月25日 (土) 22時20分

SevenFiftyさん、おばんです。

>いちごさんもWに乗られたことがあるのでしょうか。
いや、Wは一度もないんです。Z2もCB750fourも、乗ったことありません(汗)。
乗ったバイクのうちで、年代的に一番古いのは、RD250です。

>マジでやったのですか。
ま、フィクション交じりということで(爆)。

投稿: いちご | 2011年6月25日 (土) 22時25分

はじめまして。
塔のへつりでお邪魔した、もう一組のふーふ、ゆ喜多です。
「ソースなカツにしてくれ」楽しく拝読させて頂きました。

先日は皆さんのツーリング途中に突然乱入してしまい
申し訳ありませんでした。
おくさん、会いたさについ…(@Д@;

またどこかでお会いする機会がありましたら
よろしくお願いします。

投稿: ゆ喜多 | 2011年6月25日 (土) 23時10分

ゆ喜多さん、ご訪問&コメントありがとうございます。
申し訳ありませんということは、全然ありません。感動的な遭遇、忘れがたい場面を目撃できました。

皆で、「FZX750懐かしい! 昔の試験車!」なんて話してたんです。VMAXに似てると思って調べたら、国内向けのVMAX路線モデルだったのですね。
VMAX乗りの友人がVMAXの直前に所有してました。

またよろしくお願いします。

投稿: いちご | 2011年6月25日 (土) 23時47分

こんばんは

完結 トップにWを、ありがとうございます。
全部読ませて頂きました。

ホント!小説ですね。

いちごさんがWの記事を書くと、凄い良いバイク思えちゃいます。
私が書くと、ポンコツバイクに・・・(悲)

投稿: クールけん | 2011年6月25日 (土) 23時53分

こんばんは。
いつの間にか5話完結までできえがってるぅー!!

その時の情景がリアルに浮かびつつ、フィクションの世界へよりリアルな物になったイメージからどんどんこの物語にのめりこんでゆきます。
文学的に書くことなんて、自分は全くできませんので、読んでるとすごいな~と思います。
おしゃべりは得意です。育ちが関西なので(笑)

今回は途中離脱でしたが、楽しかったです。
また休みが戻ったらご連絡ください。よろしくお願いいたします。

投稿: やんべ | 2011年6月26日 (日) 00時54分

長編大作、お疲れさまです。
けんさんのWのサウンドは
確かに、響きますね。

今回はお疲れ様でした。
楽しかったです。
また機会がありましたらよろしくお願いいたします。

と、いうことで自分の連絡先をお伝えしておきます。

投稿: ボティー | 2011年6月26日 (日) 07時50分

サエコだぁ~!?
え?これから本編でしょ?
つづくんでしょう~??
ダンが、サエコさんは、
いちごさんの奥様では??と申しておりますが!?

投稿: おくさん | 2011年6月26日 (日) 07時59分

こんにちは!!

W1SAはカッコ良かったですね!!
キックでのエンジン始動に「ズババババ」と小気味よい音!!
なんとも風情があります。

高速でそれぞれのICで手を上げてそれぞれに
帰っていくのは私も好きです(^^)
別れなのになぜかニヤニヤする不思議な瞬間です!!

投稿: 230 | 2011年6月26日 (日) 10時53分

いちごさん、こんにちは!
「ソースなカツにしてくれ」拝読しました~(^^)。
やっぱ、いちごさんの文才はスゴイです!
おくさんの絵といちごさんの文章を合体させた企画とかスゴイと思うんですが
どうでしょう?(^^)

クールけんさんのキックでエンジンを目覚めさせるアクションが凄くカッコ
良かったです。
そう言えば、最後にキックでエンジンかけたバイクは何だっけ??(^^;)

素晴らしいツーのお声がけを頂きありがとうございました。
またご一緒させて下さい。

投稿: わらいぶくろ | 2011年6月26日 (日) 16時57分

クールけんさん、おばんです。
全部読んでいただき、ありがとうございます。

>Wの記事を書くと、凄い良いバイク思えちゃいます。
いやいや、とんでもない、いいバイクですよ。
何回か書いてますが、CB750fourのK1とかK2あたりが一番好きですね。SB買うときにも迷ったんですが、メンテ苦手なので諦めました。

投稿: いちご | 2011年6月26日 (日) 18時49分

やんべさん、おばんです。
今回は途中離脱、残念でした。解散まで驚きと感動の連続でした(笑)。

>おしゃべりは得意です。育ちが関西なので(笑)
確かに! 私にもその能力を分けて下さい(爆)。

休みは、9月下旬には土日に戻ります。平日休みってのも、案外のんびりできていいものです。

投稿: いちご | 2011年6月26日 (日) 18時51分

ボティーさん、おばんです。

>けんさんのWのサウンドは確かに、響きますね。
お! ボティーさんのWも是非、あの音へ!

>連絡先をお伝えしておきます
ありがとうございます。早速登録し、今、返信送りましたよ(笑)。

投稿: いちご | 2011年6月26日 (日) 18時54分

おくさん、こんばんは。

>これから本編でしょ?
え? これで終わりです。

>つづくんでしょう~??
続きませんよ(笑)。というか、このあとはムフフですから、書けません(爆)。

>いちごさんの奥様では??と
サエコが妻だったら、どこへでも一緒にツー行きます。おくさんにもお披露目します(爆2)。
しかし、いつも不意にしか現れないので・・・(笑)。

投稿: いちご | 2011年6月26日 (日) 18時57分

230さん、おばんです。
Wの音、いいですね。しかしメンテできない私は、眺めているしかありません。

230さんの883Rも、アイドリングでブルブル震えていいですね。今度平らなところで乗せて下さいね。

手を上げて分かれるのは、いいですね。いつもそう思います。

投稿: いちご | 2011年6月26日 (日) 18時59分

わらいぶくろさん、おばんです&ありがとうございます。

>おくさんの絵といちごさんの文章を合体させた企画とかスゴイと思うんですが
>どうでしょう?(^^)
いやですね、わらいぶくろさん。それは既に始まってますよ。
脚本いちご+絵おくさんの大河漫画 「小荒が辻」です。
まだ1回目だけですが、おくさん、すぐに書いてくれるでしょう(とプレッシャーをかけておく、爆)。
これです。読んで下さいね。
http://d.hatena.ne.jp/k9352009/20110528/1306548134

キックスタート、いいですね。(あっ、こういう世界もあったんだっけ)と思いました。
最後にキックでエンジンかけたバイクは、たぶんスーパーカブです(笑)。

また是非。

投稿: いちご | 2011年6月26日 (日) 19時04分

こんばんは。
皆さんの別れの場面、味がありますね~
私はマスツーを経験した事がありません。
この別れの場面、経験してみたいですね。

サエコさん、何だか気になります。

投稿: utunosamu | 2011年6月26日 (日) 20時42分

utunosamuさん、おばんです。

この、片手を上げて「GOOD BYE」とやるお別れのシーン、バイク乗りならではのもので、きっと他の乗り物ではこういかない、センチにならず、清清しくも爽やかなものです。一緒にいた時間を思い返しながら、また会える日を楽しみに、道中気をつけていきましょう、などの思いが一瞬のうちに交錯します。

>この別れの場面、経験してみたいですね。
では、是非、今度ご一緒に!

>サエコさん、何だか気になります
気になりますか? 私の秘密の恋人です(水爆)。

投稿: いちご | 2011年6月26日 (日) 22時40分

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