日経新聞『私の履歴書』
日経新聞に、「私の履歴書」という連載があります。今日ふと見たら、作家の渡辺淳一氏の連載になっていることに気づきました。さっそく、元日までの新聞を探して、初回から読んでみました。
氏の作品は20代から30代にかけてかなり読みましたが、そのきっかけとなったのは、「阿寒に果つ」です。
二十歳の頃本屋で手にしたら、脇にA君がいて、勧められました。書き出しも、読者を小説に引き込む力があると思います。
「死に顔の最も美しい死に方はなんであろうか。(略)
生きていた時よりも美しく、華麗に死ぬ方法はただ一つ、あの死に方しかない。あの澄んで冷え冷えとした死。」
これは加清純子さんという実在した方をモデルにした小説で、雪の阿寒湖を見下ろす峠で、彼女の凍死体が発見されるところから始まります。今日の連載は、その彼女との出会いについて書かれていました。
それから幾つも読みましたが、お勧めは、「阿寒に果つ」と
医師である息子が、母の死に向き合った「死化粧」
自分の死を知っていた医師を描いた「無影灯」
人間野口英世のいいところも悪いところも全て書いた「遠き落日」
この4つです。
なかでも、「無影灯」に出てくる直江医師が言った
『どんな死だって、死んでいく本人が納得できる死なぞはない』
という言葉 人間の愛と死について考えさせられました。これはテレビドラマ化もされましたね。直江の恋人志村倫子役は竹内結子、テーマ曲は竹内まりやでした。
が、「失楽園」あたりから高貴な描写が多くなり 特にこれは、うんざりするほど赤裸々な描写が多く その後書かれた「シャトウ・ルージュ」に至っては、展開が分かって飽きてしまい、最後まで読めませんでした。それ以来、あまり読んでいません。
そして、最近読んでいるのはノンフィクション作家の吉村昭ということになります。
さて、加清純子さんの生き方、Webのあちこちで見てみると、男からすれば神秘的で妖精のように映るらしいですが、女性には、何もかも演出、鼻につくと不評なようです。
私も、このように周りから特別視される、小悪魔のような女性には、1人だけ会ったことがあります。彼女は、今も生きていますけどね、たぶん(笑)。
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コメント
いちごさんの文章って、人を惹きつけますね
次へ次へと好奇心を膨らませられました。
ご友人のA君の記事も今日初めて読ませていただきましたが、
数十年前の私の知らない風景が浮かんでくるようでした。
いちごさん、小説書けそうですよ~
最後の猫ちゃんに癒されました(^^)
投稿: ウシ子 | 2013年1月 9日 (水) 22時41分
こんにちは。
SevenFiftyです。
わたしも若い頃に渡辺淳一氏の医療物の短編集は読みました。
「自殺のすすめ」とか「酔いどれ天使」とかです。
「酔いどれ天使」は黒澤明監督の映画でも同名のタイトルがありますが、内容は全く違います。
短編なので気楽に読めた記憶があります。
ネコは可愛いですね。
思わずモフモフしたくなる衝動にかられます。
投稿: SevenFifty | 2013年1月10日 (木) 15時10分
渡部淳一は、「自殺のすすめ」は読みましたね。あと覚えてない...。
こちらにも、どの死に方がきれいに死ねるかが、かかれてたような?
ただ、本当かどうかわからないですが、
この方、本に載る写真をかなり若い頃の写真をつかっていて、
すべての写真をチェックしてると聞いて、読む気が失せました(^^;)
投稿: おくさん | 2013年1月10日 (木) 20時02分
ウシ子さん、こんばんは&ありがとうございます。
小説書くレベルではありませんが、「無影灯」の直江が死んだのも、A君と同じ湖です。
>最後の猫ちゃんに癒されました
私の生きがいです(笑)。
投稿: いちご | 2013年1月11日 (金) 19時08分
SevenFiftyさん、おばんです。
>「自殺のすすめ」とか「酔いどれ天使」とかです。
前者は読んだことありますね。内容は覚えていません。
>ネコは可愛いですね。
>思わずモフモフしたくなる衝動にかられます
お互い、病的なほどの猫好きですね(笑)。
モフモフは、喉から胸のあたりの感触が好きですね。あとは腹に顔をうずめて深呼吸。
幸せな気分になれます。
投稿: いちご | 2013年1月11日 (金) 19時11分
おくさん、こんばんは。
>「自殺のすすめ」は読みましたね。
SevenFiftyさんと同じですね。
>この方、本に載る写真をかなり若い頃の写真をつかっていて、
>すべての写真をチェックしてると聞いて、読む気が失せました
それは初耳です。映画「失楽園」冒頭にも出ていましたね。
今日銀行で雑誌を読んだら出ていて、随分お齢を召された顔に変貌していましたよ(汗)。
投稿: いちご | 2013年1月11日 (金) 19時13分