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2013年11月23日 (土)

私のバイク遍歴(62) 限定解除試験合格の裏話

大型二輪免許の限定解除試験に合格したとき(その話はこちら)、実は笑えない裏話があった。ブログにさわりを一度書いたことはあるが、もう全貌を明かしても問題なかろうと思うので、再び披瀝する。

話は25年以上前にさかのぼる。
合格発表後、他に1名いた合格者とはお互い話しかけることもなく、目も合わせず、適当な距離を取って、待合室にある四角く茶色いビニール製のソファに座っていた。免許証の裏に「自二車限定解除」というゴム印を押してもらうのを待っていたのだ。

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彼は手続きを終えて颯爽と帰っていったが、私はなかなか呼ばれなかった。すると館内放送noteがあった。
「大型自動二輪免許試験を受けたいちごさん、30番窓口へお越しください」

免許交付とは違う窓口である。何だろうと思って行ってみると、そこには、さきほどの試験官が、腕組みをして鬼poutのような形相で待っていたのである。

 

「何でしょうか」
「何でしょうかじゃないannoy、この免許証は何だsign03
試験を受ける前に、免許証は窓口を通して試験官に預けている。彼は私の免許証を目の前に置き、怒り心頭という目でこちらを睨んだ。その意味するところは、たちどころに分かった。
「すみません」
「免停2回とは何ごとだsign03
「すみません、反省しています」
「もう、こんなことが分かっていれば、合格させなかったんだsign03
「・・・・・」

憤懣やるかたないというのは、まさにあのような表情を言うに違いなかった。彼は腕組みをしたり下唇をかんだり、落ち着かない様子で怒りangryを露わにしていた。
免停2回とは、『私は遵法精神のない極悪bombライダーです』という裏づけのようなものだ。もはや平身低頭である。まさか合格取り消しとはならないだろうが、大型ライダーとなった今、試験官の怒りの源泉はよく理解できた。そしてその感情に応え、大型の重みに耐えるため、これからは模範ライダーになろうと思った。

「しかも1回目のあと、たった1ヶ月で2回目じゃないかsign03
「はい・・・・・」

私は黙っていた。試験官も、顔を赤らめたまま黙っていた。

そうしてガラス1枚を隔てたまま、ただ無言の時間が流れた。
傍から見たら、不思議な光景だったろう。ガラス1枚を隔てたカウンターの向こうとこっちで、唇をわなわな震わせる試験官と、ただ黙ったままの学生が、時に視線を合わせ、時にそらしながら、何も話さずにいたのである。

しかし私には、彼がそうして激昂すればするほど、私の合格がますます揺るぎないものであることを確信した。何故なら、簡単に合格を取り消すことができるのなら、彼はそれほど怒る必要はないのであり、だからこそ、彼の怒りとは裏腹に、私は表面は沈鬱な表情をするように務めるだけで、内心では安堵感を強めていた。

そして時間の経過とともに、カウンターを隔てた向こうにいる彼の表情が徐々に緩んでいくのが分かった。予想どおりだった。
それは彼の思考が赦しに傾いたのではなく、もはや合格を撤回できないという不可抗力に基づく諦観と、現実を直視し職務としてどうあるべきかという視点に切り替わったからに違いなかった。
そして最後に背筋を伸ばし、落ち着いた、端正な口調でこう言った。
「これからは安全運転をするように」
「はいっ」
「合格は合格だから、肝に命じて運転するように」
「はいっ」
「・・・・・もういい、行ってよい」
「失礼しますっ」

 

私は深々と頭を下げ、後ずさりして1メートルほど下がった。すると「ちょっと待て」と呼び止められた。
「はい」
「もう、免停なんかなるな・・・」
「はいっ」

そこには微笑すらなかったが、既に怒りが消えた表情には、試験官としての厳しさに温かみが加わっていた。

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5分ぐらいして再び呼ばれ、私は免許証を受け取った。すかさず裏を返すと、2つの免停ゴム印に加え、「自二車限定解除」の印が押してあって、何とも賑やかな裏面になっていた。
 

そうして私は外に出て、晴れ晴れとした気分を味わうのである。これらの情景は、まだ2,3年前のことのように覚えている。

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2回免停の理由とは何か。スピード違反である。馬鹿な私は、1ヶ月に2回赤切符を頂戴するという愚行をおかしていた。

 

それでも私はチャレンジした。ある悪友は私を「おい、免停2回」と呼び、またある友人は「その免許で大型に合格するのは絶対不可能だ」と言った。

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一念、岩をも通すか、類い稀なる僥倖か。 いずれにせよ、私は合格し、大型免許を手にした。

おかげで私はその日のうちにナナハンを買い、夏には鈴鹿8耐へ行き、鳥取県で日本海に沈む夕陽を眺めた。そして7年前にはリターンし、今も充実したバイクライフを送っている。事故も転倒も免停もない。感謝sign03

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いつか、新しく大型免許を取った君と、高速のPAで、ピース。 

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(写真は以前に撮ったものです)

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コメント

こんばんは。
SevenFiftyです。

わたしが通った試験場は新興住宅街なんですが裏手にはまだまだ雑木林がありました。
そんな住宅街の道端に『マムシ注意』の看板があるんです。
試験場のコースにマムシが入り込んで教習中や試験中の車やバイクに轢かれたなんて噂話はありました。
自動二輪の免許を取ってすぐにバイク屋さんに行って中古のバイクを物色です。
当時はインターネットも無いの雑誌の中古車欄と口コミだけがたより。
ZもCBも高い。
バイク屋さんからは『ビンボー人はマッハに乗れ』と言う事で、2STで乗りにくく人気も価格も底値の中古の750SSを買った次第ですよ。
サーキットはヘタレで逃げ出し、オフは身の程知らずで転倒を繰り返す、市街地では早くも路地ばかり走り始める始末です。
いちごさんのように文章になるような話は無いです。

>(写真は以前に撮ったものです)
いい写真ですね。
わたしも以前撮ったものですをURLに乗っけてみました。

投稿: SevenFifty | 2013年11月23日 (土) 20時52分

フィクションですねぇ

限定解除って免停2回でもいただけるのですね ニャハハ(*^▽^*)

幸い「免停」は一度も経験が無い私には楽しい読み物でした。


言いたいところですが

なんと

本日「一時停止違反」をやらかしました。( ̄▽ ̄;)!!ガーン

投稿: かもしか | 2013年11月23日 (土) 23時42分

猫の顔です。私の限定解除の苦労話は、あぶら点検窓に掲載されておりますけど、免停二回は経験無いなあ。俺はSUZUKIのGT750でしたが、今年で丁度、30年経ちました。懐かしい思い出です。合格した直後の感じは、「ああ、これで俺も本物のライダーとして生まれたのだ。もうどんな2輪車にも乗れるのだ。」と感慨無量でした。はや30年、昨年、CB650でリターンした次第です。あと何年乗れるかなあ?と考えると、時間が貴重になってきますね。

投稿: 猫の顔 | 2013年11月24日 (日) 03時04分

>SevenFiftyさん
はい、私が買った頃もインターネットはありませんから、やはり雑誌の中古車欄と口コミだけでした。
近くにCB750FAがあって買いましたが、本当はOHCのK4あたりが欲しかったんです(価格は別として)。
>『ビンボー人はマッハに乗れ』と言う事で、2STで乗りにくく人気も価格も底値の中古の750SSを買った次第ですよ。
人気最低ですか、まぁ暴れ馬ですからね(汗)。
>市街地では早くも路地ばかり走り始める始末です。
昭和さがしツーの原点はここにあったのですね。
>わたしも以前撮ったものですをURLに乗っけてみました。
拝見しました。オフ車が向く先に月があるのがいい構図ですね。それに灯台と街の灯りが下に見えるのもいいです。これがあるので奥行きが出ているように思います。

>かもしかさん
先ほど、大竹の走行写真をメールしました。
受信は重いですが(笑)。
免停あっての合格は、ほとんど奇跡です。フィクションではありません(笑)。
一時停止ですか、私も4年ぐらい前に確保されました。

>猫の顔さん
またエンディングをパクらせてもらいました。
今年で30年ですか、全く同じです。ということは同じ年に大型取ったわけですね。
>「ああ、これで俺も本物のライダーとして生まれたのだ。もうどんな2輪車にも乗れるのだ。」と感慨無量でした。
私は「これでナナハンに乗れる」と思いました。ずっとCBのK2かK4と思っていたんですが、近くにありませんでした。
>あと何年乗れるかなあ?と考えると、時間が貴重になってきますね。
同感です。あの重さにあと何年耐えられるかとも思います。

投稿: いちご | 2013年11月24日 (日) 18時10分

猫の顔は昭和58年5月に限定解除を15回で取得しました。昭和37年3月生まれです。

投稿: 猫の顔 | 2013年11月24日 (日) 19時11分

>猫の顔さん
再コメントありがとうございます。
某所でお答えしました(笑)。

投稿: いちご | 2013年11月24日 (日) 23時18分

昭和32年生まれの私、2気筒CB350で難なく自動二輪免許を頂く、書き込みの皆さんには申し訳無く思いますが行政が成せる技、怨んだりしないようお願いします(笑)

↑猫の顔さんはCB650所有ですか、私もやっとCB550を手に入れましたが、いちごさんがCB750を欲しいのが良く判ります……重いよぉ

15日ですが晴れるといいね
以前笠間のモツ鍋をご一緒した東京のE女史もゼファー750で下妻入りしそうです、黒麦が一番小さいバイクで参加、まぁ冬眠中なのでお許しを……

投稿: 黒麦街道 | 2013年12月 1日 (日) 16時30分

>黒麦街道さん
昭和32年生まれということは、限定解除試験施行前ですよね。こればかりは仕方ありませんね。
私ぐらいの年代が、大型取得は一番苦労したようです(汗)。

>↑猫の顔さんはCB650所有ですか
はい、HONDA最後のSOHC4気筒マシンだそうです。

>私もやっとCB550を手に入れましたが、いちごさんがCB750を欲しいのが良く判ります……重いよぉ
550早く見てみたいです。1300は重いしパワーありすぎで、やはり750クラスが一番ですね。
15日、行ければ行きます(笑)。
E女史さん、あまりお話できませんでしたが、今度は是非したいです。まぁ排気量は関係なく、ジャストフィットサイズということで。

投稿: いちご | 2013年12月 1日 (日) 20時07分

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