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2019年3月 4日 (月)

私がステーキをレアで食べる理由

確か昨年だったか、ある方々とステーキを食べに行ったとき、私が「レア」と頼んだのを聞いて、そのうちの1人が

「あら、レアだなんて凄いわ」
と言ったので、すかさず私は
「いや、いつもレアですよ」 と言うと彼女は、
「ううん、通だわ、凄―い」
と言ったのを思い出した。でもこれは凄くも何でもなく、はるか昔、貧乏学生だった頃のある体験が元になっている。 なお彼女と書いたが、もちろん私の彼女などではなく、ある方の奥様である。
 
 
それはもう今を遡ること30年以上も前、昭和50年代の、ある寒い冬の日であった。

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私は友人と4人ぐらいで車に同乗し、献血するために病院に向かっていた。理由は、大学の教授だか助教授だかが手術を受けるのだが、そのために大量の輸血が必要である、そのために、私が所属していた趣味のサークルのメンツが大量にかり出されたのである。

私の血液型はB型である。そしてそのサークルは、異常なほどにB型の学生が多く集まっているのであった。普段から血液型占いなどで決して良く言われないB型である。曰く、《マイペース、自己中心、いい加減、マニアック、好きなことには夢中になるがどうでもいいことは放ったらかし》
それは確かにその通りだろう。私の性格と寸分違わない。
でも、そんなB型の連中は、その日に限って、願ってもない人助けのために車に揺られているのだった。記憶によれば車は23台おり、総勢10人ぐらいのB型の学生が片道1時間ぐらいの病院に向かったのである。

病院に着くとすぐ、献血と言うべきか、400ccぐらいの血液を採取された。皆若くて健康だったから、400cc抜かれても何ともなかった。
そうして帰路についたら、リーダーを務めていた先輩が言った。
「○○さんのお母さんが、献血のお礼にと、お金をくれたよ。いや、要りませんと言ったのだけれど、『せめてものお礼です。受け取っていただかないと私たちの気がすみません』と言うから、受け取ったのだけれど」

皆、それは恐縮だと口々に言った。誰もが若かったから(しつこい)、健康すぎて持てあましている体である。血液を提供して誰かの命が助かるなら、それだけで十分だった。しかもそのうえ、謝礼までいただいたのである。
「このお金、どうしようか」
とリーダーが言った。そして少しの沈黙があった。
誰かが
「何かいいものを食べて帰ろう」
と言った。それは素敵なアイデアだった。
おそらく、そのお金で参考書を買おうなどと思う奴は一人もいなかったし、車やバイクのパーツを買おうと思ってもいなかった。もちろんパチンコなどしては申し訳ない。分配すれば、夕食を2回ぐらい外で食べるぐらいの金額であった。その日のうちに使ってしまうのがいいような気がした。

「じゃあ、普段食べられないステーキを食べよう」
と、ちょっとブルジョアな雰囲気を漂わせているKが言った。
「それはいい」
と皆、賛同した。
日が沈み気温が下がる頃、車は某ステーキ店に到着した。ぞろぞろと学生が慣れない店に入り、慣れないメニューに見入った。すると、皆の心に新たな問題が発生するのであった。
焼き方をどうするか、である。
レアは生っぽい、ミディアムがよさそうだが本当にいいのか? ウェルダンではいかにも固そうである。
昭和50年代の地方国立大学生にとって、ステーキとは、あまり縁のない食べ物である。いや、当時は「ビフテキ」と呼ばれていたかもしれない。仮面ライダー主演の藤岡弘、氏などが、「血の滴るビフテキ」などと言うのをテレビで聞いても、あまり実感としては沸かなかった。

そこでKが再び口を開いた。
「ステーキ食べるならレアに限るね。噛みごたえがあるから、食べた!という気になる」
「なるほど!」
と皆、膝を叩いた。

そうして全員が口を揃えてレアで注文した。
ほどなく、熱々の鉄板に乗ったステーキが運ばれてきた。紙のエプロンをして、何やら卓上のソースをかけた上にまた紙を乗せ、一度蒸し焼きにしてからお召し上がりくださいという説明があり、皆、慣れない手つきでソースをかけ、慣れないフォークとナイフを振り回してステーキを平らげた。
こうして全員、献血をしたうえにステーキまで食べて、満足にひたった。後日聞いたところでは手術は成功し、献血も役立ったということであった・・・。

そして先月、ヨメと2人で富山の某ステーキ店に行った。ヨメは300グラム、私は400グラムのを頼み、軽く食べてしまった。もちろん焼き方はレアである。私はまだまだ30年前のような胃袋を持っていると感謝すると共に、レアで食べると食べ応えはあるし、何より、肉の味もよく分かると再認識したのであった。

写真はWEBから拝借しました。

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コメント

こんにちは。
SevenFiftyです。

わたしはレアはどうも苦手なんで「焼肉みたいにガッツリ火を通してください」で頼みます。
生があると「焼き直しです」でお願いします。
どうも生の部分はよう消化できんのかすぐにお腹の具合が悪くなるんです。(汚い話、上も下もアウト)
ちなみに刺身は大抵トイレに駆け込みます。
ツーリングで海鮮丼は地雷に等しいです。
わたしのブログで自宅の食卓に刺身や握り寿司がたま~にしか出ないのはこのためです。

でも酢でしめてあると何故か生でもOKなのがようわからんです。

>私は友人と4人ぐらいで車に同乗し、献血するために病院に向かっていた。理由は、大学の教授だか助教授だかが手術を受けるのだが、そのために大量の輸血が必要である、そのために、私が所属していた趣味のサークルのメンツが大量にかり出されたのである
いちごさんに似てる経験があります。
事前に適応する血液型ということで検査の採血をして、さらに血液の細かい適応型まで調べてOKとなり「供血」をしました。
大の注射嫌いなので200ミリリットルで勘弁してもらう予定でした。
時期は夏、若い女性の看護婦さん(今は看護師)が供血中の担当です。
覆いかぶさるように消毒と採血です。
看護婦さんの制服の下の胸元が見えるんですよ。
おかげというかミョーに血液の循環がよくなり「SevenFiftyさん、400でも大丈夫ですか」と何とも言えないお言葉です。
嫌だとも言えずに「だ、だいじょ~ぶですょ・・・」ということでガッツリ血を抜かれました。

お礼にもらったお金は病院の近くの場外馬券売り場でソッコー消えました。
夕暮れの帰りは何だかむなしい気分になりました。

投稿: SevenFifty | 2019年3月 6日 (水) 18時14分

>SevenFiftyさん
毎度コメントありがとうございます。
私は最近、食べ過ぎると、必ず下り特急です。
腹八分目なら何てことはありませんが、十分目食べると黄色信号です。
長時間トイレのないところに出かけるときは用心しています。昨年いったトロッコ列車は軽い恐怖でした^^;

>看護婦さんの制服の下の胸元が見えるんですよ。
>おかげというかミョーに血液の循環がよくなり
う~ん、それが狙いだったのかも(爆)。

まぁ馬券より食べ物にしたほうがよかったと思います。^^;

投稿: いちご | 2019年3月 8日 (金) 22時49分

肉はミディアムが一番いいと思ってます。
でもさすがに400ℊとか300ℊは無理ですね。
最近だと150ℊで精一杯というところですかね。
供血はしたことありませんが献血はいっぱいしましたね。
若いころは400㏄が当たり前でしたね。
最近は喘息の持病のため献血も断られてますがね。
でも自分では元気のつもりです。

投稿: かき | 2019年3月 9日 (土) 16時49分

私は肉類は基本的に食べません。動物性たんぱく質は、魚介類のみですなあ。お刺身が良いですなあ。

投稿: 猫の顔 | 2019年3月10日 (日) 16時32分

>かきさん
ミディアムですか。私も家で焼くとたいがいミディアムになってしまいます。
>供血
なるほど、献血でなく供血ですね。
最近は献血もしていません。私も持病があるので無理かも。

投稿: いちご | 2019年3月10日 (日) 17時06分

>猫の顔さん
命に感謝しながらいただいています。
何があっても、決して残さず。

投稿: いちご | 2019年3月10日 (日) 17時08分

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